たぶんサヨナラまたはハレルヤ

連作「たぶんサヨナラまたはハレルヤ」 成瀬悠太


恋文をワードで書いて保存してメールに添付して送ります

地下鉄のドアにはられた広告のシールを剥がしたくて見つめる

愛は食べものじゃないのとすれ違う度に諭してくれる先生

人はみなあんな姿で死ぬのかよ こんな姿で生きてくのかよ

好きじゃないことばかりした日々のこと 小声で告げたさよならのこと

初夏の汗ばむからだを持ち上げて共同墓地へ向かう日曜

N極とS極がくっつかないように支えています 星になれたら

枕元 積み上げられた本に置くつめ切りみたいに詩を思い出す

赤青と交互にひねりちょうどいい温度を探すのでしょう 今夜も

伝えたくないことばかり持ち寄ってコーヒーカップに沈むハレルヤ