失ってはじめてわかるかなしみを埋めようとするマイルドセブン

まっすぐに空へ伸ばしたてのひらで掴んだ風は絹の手触り

とりあえず好きってことにしておいて部屋のパネルを選ぶ指先

心臓に燻っている残り火を掻き消すように吹いたハモニカ

オーケストラの音を再生し続けた故iPod nanoを弔う

ポケットに手をつっこんで合鍵の硬さを確かめている親指（成瀬悠太）

平井堅が瞳を閉じてと歌ってる レトルトカレーを買って帰ろう

恋なんかゲームだなんて言いながら女心を弄びたい

新しい年が明けてくケーブルを駆け巡ってく言葉とともに

寒空を飛行機雲が横切って最終回のように消えてく

下手くそな鼻唄ですね くしゃくしゃに丸まっているTicket To Ride

神さまが遠くに見える ぽつねんと耕地に立った案山子みたいに

こんなにも綺麗な虹を見てるのに困ったように笑ってしまう

花束におさまっている寝姿は悲しいくらい綺麗に見えた

まさかって顔してるけどそんなにも信じられないことですか 好き

脳でなく魂でなく細胞でなく情報でなく生きている

ベランダでぬるい缶ビールを飲んでいる 幸せになってください

初々しい笑みを浮かべてわらいあう新入生で溢れる車内

題詠blog2011に参加します。完走を目指してがんばります。 よろしくお願いいたします。

連作「温度計では計れない温度」 成瀬悠太 触れられず触れずにひとりいることで季節に染まる僕の体温凍てついた夜 満天の星空にオリオン座だけすぐに見つけるかじかんだ手に吹きかける息白くテールランプを見送っている粉雪は水銀灯に照らされて町を夜空を白…