あどけない右頬の片えくぼとかきみの形は僕にやさしい（成瀬悠太）

飛ぶことは貴い ライト兄弟がはるかむかしに空を飛んでも（成瀬悠太）

晴れてても秘密は秘密のままがいい 心じゃなくて分かち合う嘘（成瀬悠太）

やさしさと甘さを履き違えている ただ微笑みをあなたに向ける（成瀬悠太）

思いでの成層圏を突破してあの日に帰すような雨の日（成瀬悠太）

着古したコートを脱いで外に出る 春の日差しが美しい空（成瀬悠太）

この街で何度も何度も振り返りまた前を向く もうすぐ四月（成瀬悠太）

あの人の舌が抜かれるその前に舌を絡める 嘘って甘い（成瀬悠太）

四月には離れ離れになる人の右手を握る 街の雑踏（成瀬悠太）

見え透いた嘘は許そう 僕だって時々他の誰かを想う（成瀬悠太）

小奇麗に並べた嘘の傍らに「君が好きだ」が転がっている（成瀬悠太）

嘘をつく 洗濯もする 明日は晴れ ロマンチックな恋でもないし（成瀬悠太）

「結婚しよう」 冗談めかして言うあなた 四月の嘘に頷くわたし(成瀬悠太)

くるくると回る世界の片隅で洗濯物を取り込んでいる（成瀬悠太）

曖昧な感情ばかり生まれてく うんと好きだと言いたかったな（成瀬悠太）

たぶん愛だとおもうけどオレンジがやけにすっぱい日曜の朝(成瀬悠太)

美しい人を見かけた 新宿に降ってた雨は虹になってた(成瀬悠太)

落下したミルクの白はコーヒーと渦をつくってわたしを責める(成瀬悠太)

だいじょうぶ笑い方なら覚えてる体で覚えたことなんだから(成瀬悠太)

昨日まで小指で交わした約束を今日は薬指で誓おう(成瀬悠太)

眠りたいきみとこのまま 最終の山手線はどこで眠るの(成瀬悠太)

どこまでもきみの言葉は美しく 思い出話は映画のようで(成瀬悠太)

あげるのはチョコじゃなくなっちゃったけど 思い出の分ずっと愛しい(成瀬悠太)

バレンタイン用に売ってるものだけどあのチョコレートすごくうまそう(成瀬悠太)

この気持ち伝わるように胸に抱き重ねたハートに想いを託す(成瀬悠太)

君と見た東京タワーの夜景から今日も東京タワーを仰ぐ(成瀬悠太)

チョコレートくれる前からお返しを何にしようか考えている(成瀬悠太)

この街に奇跡はそんなに起きなくて だからあなたに声をかけたの(成瀬悠太)

東京の冬は短い 春が来る 東京タワーに雪も積もらず(成瀬悠太)