題詠blog2008
フェルメール 飾られているカフェテリア 絵画の美女に会いにきている
知らなくていいこともある お茶の間を賑わす女優の入籍報告
深呼吸 吸い込む息の冷たさに霜焼けの朝 そっと閉じこめ
桟橋にもみじのじゅうたん せせらぎの音色に合わせてワルツを踊ろう
玉葱でお手玉をする道化師の涙の青をじっと見ている
きょうだけはちゃんとあなたに伝えたい ひとりごとでは伝わらないから
真夜中にぼんやり光る冷蔵庫 その眩しさに抗えなくて
六歳の頃に恋したこのひとは可憐な仕草でゆでたまごをむく
パタパタとタータンチェックのスリッパで猫のアリスを追いかける君
何回も浅い眠りを繰り返し君に振られる夢を見ていた
暗号のように囁く花の名の@(アットマーク)の前の文字列
地下にあるカフェでチェスなど指しながら野郎ふたりで食べるチョコパフェ
帽子屋の向かいで売ってるクレープを頬張りながら雨を待ってる
星屑が零れるカーテン ダボダボのパジャマ姿で乾杯しよう
ああ ぼくの気も知らないで悩ましい腕の角度でノートをとるきみ
ごはんつぶひとつ残さず平らげてたぶんあなたに会えてよかった
乾燥したくちびる舐める 口許の紅色から目をそらしては
幽霊がでるトンネルに口笛でロックンロールを響かせて 空
キヨスクで買ったタバコをくゆらせる きみを見送る駅のホームで
一日が七十二時間あったって君のことだけ考えるだろう
愛ゆえにきみとさよなら 確率を示し合わせてまたあいましょう
熊が出る山の近くに住んでます リスも出るのが気に入ってます
両頬を愛が流れて霧散する 最後にお礼を言わせてください
凧糸が美人の凧と絡まって ああすみません なんてないかな
運悪く黄色いTシャツ着てるからひまわりみたいに泣けないでいる
今晩は僕は患者の設定で君は看護婦さんの設定
あの人の同情誘う泣き方を楽譜に書いて教えてください
風鈴が来客告げる こんにちは 夏が微熱でくしゃみしている
なんとなく宝くじとか買うような気持ちで走って角を曲がった
鱗雲空に棚引く風の日は澄んだ人魚の歌声がする