題詠blog2008
おやすみは聞こえましたか 今日もまた伝わらなかった声があります
愛だけを語るべからず 誰よりも強く気高く勇ましくあれ
地下室の書物の山を繙いて悠久の知恵明かりを灯す
人々に訴えかける美しさ フィルムの中におさめて歩く
複雑な構造を持つ人体でごく単純に生きてゆきたい
恋人はいないけれども帰ったらしっぽを振って犬がおかえり
沈黙を顕すような漆黒の装いだから何も言わない
独特の周波数など撒き散らすような雨の日 二人は出会い
生い立ちを語る暇さえないくらい愛し合ってた あなたはだあれ
真夜中の病室 黒い砂煙 喉の渇きで夢が見えない
ゲーセンのメダルの音に呑み込まれ 耳を劈く欲望の音
太陽の煤けた光を羽根に浴び腹を減らした黒い鳥たち
錯乱した脳みそ全部撒き散らし血飛沫あげて虹をだしたい
わたくしの左脳あたりの六畳間 天使と悪魔が同居してます
恵まれた自覚もなしに恵まれた人生を終え後悔ばかり
ごきげんよう がらがらがこん がいこつがうがいをしてる夜の理科室
球状の瞳に映る円窓の遙か彼方の青い惑星
熱帯夜 ガールズトークに花が咲く 名古屋コーチン頬張りながら
漆黒の夜に救いがあるわけはうさぎが月を研いてるから
時々は夏の日差しに傷ついて嵐の夜に救われている
Lサイズ ボーイフレンドのパーカーを纏いしひとにコンビニで会う
児童書を読んで聴かせて一日の終わりが今日も安らかに来る
完走しました。ぎりぎりなものでそっけないのをお許しください。
雷の音を合図に始めよう 深夜0時にホラー映画を
横顔を見ていたいけど今はまだ空の花火で我慢しておく
ジャンプする人の写真を部屋中に貼ってます ほら 飛べる気がする
大量の悪意を盛って乾杯し 午前二時 まだ夜が明けない
銀行の貸金庫内 隠された暗号を解け 宝はどこだ
林檎飴片手に強く手を握る 寄せては返す人混みの中
薄暗い小さな部屋で緑黄色野菜を茹でる 愛が足りない