題詠blog2008

100:おやすみ

おやすみは聞こえましたか 今日もまた伝わらなかった声があります

099:勇

愛だけを語るべからず 誰よりも強く気高く勇ましくあれ

098:地下

地下室の書物の山を繙いて悠久の知恵明かりを灯す

097:訴

人々に訴えかける美しさ フィルムの中におさめて歩く

096:複

複雑な構造を持つ人体でごく単純に生きてゆきたい

095:しっぽ

恋人はいないけれども帰ったらしっぽを振って犬がおかえり

094:沈黙

沈黙を顕すような漆黒の装いだから何も言わない

093:周

独特の周波数など撒き散らすような雨の日 二人は出会い

092:生い立ち

生い立ちを語る暇さえないくらい愛し合ってた あなたはだあれ

091:渇

真夜中の病室 黒い砂煙 喉の渇きで夢が見えない

090:メダル

ゲーセンのメダルの音に呑み込まれ 耳を劈く欲望の音

089:減

太陽の煤けた光を羽根に浴び腹を減らした黒い鳥たち

088:錯

錯乱した脳みそ全部撒き散らし血飛沫あげて虹をだしたい

087:天使

わたくしの左脳あたりの六畳間 天使と悪魔が同居してます

086:恵

恵まれた自覚もなしに恵まれた人生を終え後悔ばかり

085:うがい

ごきげんよう がらがらがこん がいこつがうがいをしてる夜の理科室

084:球

球状の瞳に映る円窓の遙か彼方の青い惑星

083:名古屋

熱帯夜 ガールズトークに花が咲く 名古屋コーチン頬張りながら

082:研

漆黒の夜に救いがあるわけはうさぎが月を研いてるから

081:嵐

時々は夏の日差しに傷ついて嵐の夜に救われている

080:Lサイズ

Lサイズ ボーイフレンドのパーカーを纏いしひとにコンビニで会う

079:児

児童書を読んで聴かせて一日の終わりが今日も安らかに来る

完走報告

完走しました。ぎりぎりなものでそっけないのをお許しください。

078:合図

雷の音を合図に始めよう 深夜0時にホラー映画を

077:横

横顔を見ていたいけど今はまだ空の花火で我慢しておく

076:ジャンプ

ジャンプする人の写真を部屋中に貼ってます ほら 飛べる気がする

075:量

大量の悪意を盛って乾杯し 午前二時 まだ夜が明けない

074:銀行

銀行の貸金庫内 隠された暗号を解け 宝はどこだ

073:寄

林檎飴片手に強く手を握る 寄せては返す人混みの中

072:緑

薄暗い小さな部屋で緑黄色野菜を茹でる 愛が足りない