短歌

ヤクルト

ヤクルトの賞味期限が切れていて頭の中が取り戻せない(成瀬悠太)

Non Title

やけどした舌がじりじり痛んでる 忘れられない記憶とともに(成瀬悠太)

絶望

絶望と呼ぶには少し足りなくてまだ終わりではない場所にいる(成瀬悠太)

バーガー&コーラ

バーガーをコーラと共にのみくだすくらいなんだか死にたい気分(成瀬悠太)

タバスコ

タバスコを振りかけるように降る雨が春の匂いを掻き消しいく(成瀬悠太)

ロボット

もし僕がロボットならば廃棄処分されるだろうな 空を見ている(成瀬悠太)

チェリー

チェリーチェリー こちらは桜の花びらが降ってます まだ夜は明けない(成瀬悠太)

ロックンロール

でたらめなロックンロールを歌ってる 雷の音が遠くで響く(成瀬悠太)

四月

もう僕らいい大人だし四月だし夢を見たっていい頃合だ(成瀬悠太)

ライオン

ライオンのようなあくびをひとつして春風の吹くほうへ歩いた(成瀬悠太)

四月

桜色ひらひらと舞い恋しいと思うことからはじめる四月(成瀬悠太)

春一番

ビニールが春一番にとばされて明治通りを横切っていく(成瀬悠太)

声に出すと嘘になるから言うけれど あーなんかもう死んじまいたい(成瀬悠太)

Non Title

思いでを譲りはしない代償に狭まっていく 犯人はだれ金属の冷たさ頬に感じつつ飲み込んでいく灰と喧騒硬質な眼差しそっと受け止める あなたのことは見つめてもいいさよならだ愛しいひとよ 明けていく夜に柘榴は赤く光って 成瀬悠太

Non Title

頼るのが苦手な君の覚束ないその泣き顔に恋をしました(成瀬悠太)

光射し消えていく夢 東から照らされていく人類の街(成瀬悠太)

結末

結末は氷のように澄み切って 透き通ってく何かを悼む(成瀬悠太)

雨、雨、雨、

雨、雨、雨、(成瀬悠太) 雨の中 街は眠りに落ちていく ピースの箱を強く握った祝福のように流れる雨音に寝返りをうつ 君と向き合う東京のコンクリートと地続きに夢の中にも雨が降ってる

宇宙人

我々は宇宙人です 透きとおる黒い夜空に星が輝く(成瀬悠太)

Non Title

毎日がうまくいかないことばかり 言葉でさえもうまくいかない(成瀬悠太)

Non Title

うまいぼう10本分の幸福を手に握り締め駆けて転んだNANAを読む 女の子だって戦うし男の子だって恋をするのだやな想像ばかりが浮かぶ エレベーターガールがごかいですと教えた 成瀬悠太

お返し

お返しをする必要はなくなった ひとつきだけの淡い幸福(成瀬悠太)

暖炉

ぼくがいく頃には暖炉の火も消えて 暗闇の中ふたり眠った(成瀬悠太)

アフターバレンタイン

いくつもの選ばれなかったチョコたちとコンビニで会う チョコは甘いや(成瀬悠太)

バレンタインデー

生チョコもいいけどビターも捨てがたい だけどやっぱしホワイトチョコか(成瀬悠太)

バレンタインデー

チョコレートづくりもずいぶん慣れてきた30回目のバレンタインデーチョコレート期待しないのに慣れてきた30回目のバレンタインデー

バレンタインデー

チョコレート サッと渡して駆けてった水玉模様のマフラーのきみ(成瀬悠太)

バレンタインデー

チョコレートくらいくれてもいいだろう きみをくれとは言わないからさ(成瀬悠太)

バレンタインデー

チョコ渡すわたしの両手が震えてる あなたのありがとうも震えてた(成瀬悠太)

Non Title

触れている感触だけが現実で 体をくれただれかに感謝朝靄に澄んだ空気の冷たさと手から伝わるきみの温もり赤い糸だけでは心許なくて新幹線で繋がった恋伝えたいことはないけどなんとなく長い手紙を書こうとおもうここにいるただそれだけでよしとする あなた…