両足を揃えて一気にジャンプする 世界の果てまで飛び立つようにジャンプする人の写真を部屋中に貼ってます ほら 飛べる気がする

ふいにただ頭を過ぎる言葉がある あなたの名前を呼びすぎたから

大量の悪意を盛って乾杯し 午前二時 まだ夜が明けない

致死量の空気を吸って死んでいく そんな具合で生きていくのだ大量の悪意を盛って乾杯し 午前二時 まだ夜が明けない

銀行の貸金庫内 隠された暗号を解け 宝はどこだ

銀行の貸金庫内 隠された暗号を解け 宝はどこだ銀行の預金残高確認しため息をつくゼロが眩しい

林檎飴片手に強く手を握る 寄せては返す人混みの中

林檎飴片手に強く手を握る 寄せては返す人混みの中耳元に顔を寄せては囁いた君の吐息は静謐な白

薄暗い小さな部屋で緑黄色野菜を茹でる 愛が足りない

深緑のレザージャケットなびかせて 夜が来るまで 猫が鳴くまで薄暗い小さな部屋で緑黄色野菜を茹でる 愛が足りない

フェルメール 飾られているカフェテリア 絵画の美女に会いにきている

フェルメール 飾られているカフェテリア 絵画の美女に会いにきている粘着な学人主任の授業中 メール受信に響くアニソン

ちょっと忙しくて間が空いてしまいました。残り三日で三十首。…大変だけどがんばります。

知らなくていいこともある お茶の間を賑わす女優の入籍報告

入籍の手続きをした区役所に離婚届を提出してる知らなくていいこともある お茶の間を賑わす女優の入籍報告

深呼吸 吸い込む息の冷たさに霜焼けの朝 そっと閉じこめ

あの時は皮膚呼吸すらできなくてあなたになにも言えなかったね深呼吸 吸い込む息の冷たさに霜焼けの朝 そっと閉じこめ

桟橋にもみじのじゅうたん せせらぎの音色に合わせてワルツを踊ろう

桟橋にもみじのじゅうたん せせらぎの音色に合わせてワルツを踊ろう退屈な世界が始まるその前に空が笑むまで踊り明かそう

玉葱でお手玉をする道化師の涙の青をじっと見ている

玉葱を細切れにするその度にあなたの笑顔も切り刻み泣く玉葱でお手玉をする道化師の涙の青をじっと見ている

きょうだけはちゃんとあなたに伝えたい ひとりごとでは伝わらないから

ゆうえんちとかいきたいな どうかした？ いいえわたしのひとりごとですこれからはひとりで生きます そうすればひとりごとしか言わなくていいきょうだけはちゃんとあなたに伝えたい ひとりごとでは伝わらないから

真夜中にぼんやり光る冷蔵庫 その眩しさに抗えなくて

真夜中にぼんやり光る冷蔵庫 その眩しさに抗えなくて目も眩むような太陽 青空に 瞼を閉じても鮮やかな朱

六歳の頃に恋したこのひとは可憐な仕草でゆでたまごをむく

無駄ですよ いくら可憐なふりしても上腕二頭筋がでている六歳の頃に恋したこのひとは可憐な仕草でゆでたまごをむく

パタパタとタータンチェックのスリッパで猫のアリスを追いかける君

専用のスリッパ並ぶ アトリエに あなたはあかで わたしはあおでパタパタとタータンチェックのスリッパで猫のアリスを追いかける君

何回も浅い眠りを繰り返し君に振られる夢を見ていた